左右マスターシリンダーの修復







昔のはなかったとは申しませんが、ハンドルの左右に付いている今のクラッチと前ブレーキのマスターシリンダーはよくこうなります。この理由は簡単で、昔のは大柄で丈夫な作り、今のは小柄で細身だからです。転倒してレバーが折れるか曲がるかだと安価な「レバー交換」ですむのですが、このようにレバーを取り付ける付け根が折れると、もう高価なマスターシリンダーごと交換しかありません。レバー付きで平均15,000円します。



でも見かけはどうあれ、何とか折れた残骸を本体に溶接して性能上は元通りには修復可能です。でも金属というものは溶接してくっつけたらそれで元通り、という簡単なものではありません。日本刀の焼き入れを見ても分かるとおり「焼き入れ→焼き戻し」をしないと、その目的にかなった金属強度には復活しないのです。




日本古来の日本刀の焼き入れや機械工具の硬度の安定をさせることを大ざっぱに「熱処理をする」と申します。この為にはその昔は、ふいごを使って燃えたコークスに風を送るカマドでしたけど、今は電熱炉ですね。これが小規模生産用の電熱炉で1600度まで上がります。



折れた残骸を溶接して復活させたマスターシリンダーは、そのままだとその部分だけ硬くなりすぎてまたすぐに折れてしまいます。で、溶接をするということで高熱をかけた「焼き入れ」はすんでいますので、この電熱路を使って「焼き戻し」をしてやると、ほぼ元の実用強度に戻ります。もちろんこのへんの技術的な流れは経験でやるのですが、警察学校柔道部が最終学歴のイチローさんには何の知識もありません。BetaMotorの研究開発現場では、今だにイタリア人気質の現場手仕事でこれをやって試作品を手造りをしていますので、これを見て盗んで技術的な流れを身につけた次第。

荒っぽく「焼き入れ」とはカチンカチンに硬くしてしまうことを言い、「焼き戻し」とはカチンカチンのままだと固すぎてもろいく欠けてしまいますので硬さを少し落としてその分柔軟性を出す、ことを言います。

もちろん内部のゴムカップ付きピストンが往復するシリンダー部分は、フレックスホーン(毛虫みたいなナイロンたわし)をして鏡面に仕上げますので、経験上、オイル漏れは絶対にありません。

・片方どちらかが欠けたのの修復→6,000円
・両方欠けたのの修復→9,000円
*欠けた残骸が必ず必要です。

(送料)
・全国どこでも520円

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